NPOとはNon-Profit Organizationの頭文字を取ったもので、営利を目的とするのではなく、公益(社会貢献)を目的とする民間の非営利組織のことです。
非営利組織という観点から見た場合、NPOには、公益法人(社団法人・財団法人)、宗教法人、学校法人、医療法人、社会福祉法人、各種協同組合、労働組合、中間法人などの非営利法人から市民による草の根のボランティアグループまでが広く含まれますが、一般的には市民が自発的に行なっている非営利の民間組織を指してNPOと言っています。
ボランティアとは強制ではなく自発的な意志で公共への奉仕活動をする人のことです。元々は義勇兵という意味でもありました。
ボランティアは一般的には無償で行なうものを指しますが、交通費などの実費や一般市場のレートより少ない対価を受ける有償ボランティアも増えています。
市民による公益活動の領域を非営利セクターと言います。第三セクター、民間セクター、市民セクター、インディペンデント・セクター、ボランタリー・セクターなどとも言います。
国家・行政が担う公共セクターを第一セクター、企業が活動している私的セクターを第二セクターと呼ぶのに対して、NPOなど民間の非営利セクターを第三セクター(サードセクター)と呼ぶこともあります。日本で第三セクターと言う場合は行政と民間の共同経営体を指すのが一般的ですが、国際的には第三セクターとは民間の非営利セクターを指します。
1998年12月1日に施行されました。NPOの社会的意義と需要の高まりを受け、市民活動を行なっている団体がそれまでより簡単な手続きによって法人格を取得できるようにして、市民活動を促進するために制定されました。
NPO法人は非営利を原則としますが、本来の目的である公益活動の資金を得るために適正な料金で収益活動を行なうことができます。職員も無償のボランティアである必要はなく、給料を支払うことができます。ただし、NPO法人は得た利益を役員や社員(構成員)に分配することはできません。これを非分配制約と言います。非分配制約によって、残った利益は来期以降の予算や設備投資として使うことになります。
NPOが法人となる場合に主たる目的としなければならないと定められている17種類の活動のことです。目的とする活動分野がこの17種類に該当しない場合は法人格を取得することができません。
法人税法上に定められた33業種の事業で、継続して事業場を設けて営まれるものをNPO法人が行う場合には法人税の課税対象になります。33業種の事業は以下の通りです。
物品販売業、不動産販売業、金銭貸付業、物品貸付業、不動産貸付業、製造業、通信業、運送業、倉庫業、請負業、印刷業、出版業、写真業、貸席業、旅館業、料理店業その他の飲食店業、周旋業、代理業、仲立業、問屋業、鉱業、土石採取業、浴場業、理容業、美容業、興行業、遊戯所業、遊覧所業、医療保健業、技芸教授業、駐車場業、信用保証業、無体財産の提供業
NPO法(特定非営利活動促進法)の規定によって法人格を取得したNPOのことです。
任意団体からNPO法人になることで、次のようなメリットがあります。法人名義の活動(契約・口座開設・登記など)を行なうことができる。税法上の優遇措置が受けられる。社会的信用が得られる。助成金や補助金が受けやすくなる、等。
その一方で、NPO法人になると、次のようなデメリットが生じます。きちんとした会計処理を行なって財務諸表を作成し、年度ごとに所轄庁に提出しなければならない。運営や活動についての情報開示が義務づけられているなどの責任も求められる。フリーな立場による気軽なボランティアではなくなる、等。
認定NPO法人とは国税庁長官の特別の認定を受けたNPO法人です。
認定NPO法人になるには、法人設立から1年以上経過していること、パブリックサポートテストで一定の基準(総収入に占める寄付金の割合が5分の1以上)を満たしていることなどが要件になります。
認定NPO法人になると、個人や法人が認定NPO法人に寄付した場合に、特例措置として寄付金控除の適用や通常の二倍の損金算入が認められます。また、相続や遺贈により財産を取得した場合に、その中から認定NPO法人に寄付をした財産は相続税が課税されません。また、みなし寄付金制度の適用も認められています。
NPO法人は四つのタイプに分けられます。基本的に無償のボランティア活動を行なう慈善型、市民や消費者の立場から行政や企業をチェックする監視型、問題を共有するグループが会員の福利厚生を目的として運営する互助型、そして事業型NPOです。
事業型NPOは、公益を前提とした上で、顧客からサービスの対価を得て運営するもので、寄付や助成金などからの収入もありますが、活動費の多くは事業収入から得るNPOです。
介護保険の指定居宅介護支援事業者になるには原則として法人格が必要なので、福祉分野で起業をする場合に、選択肢の一つとして、それまでNPO活動を行なっていなくとも最初から事業型のNPO法人を設立するケースも増えています。
事業型とは言っても、NPO法人である以上、非分配制約によって、得た利益を役員や社員に分配することはできません。
NGOとはNon-Governmental Organizationの頭文字を取ったもので、非政府組織と訳されます。元々は国連の経済社会理事会との協議資格を持つ非営利組織を指していましたが、現在では国家の枠組を超えて国際的な活動を行なっている民間の非営利組織のことを広くNGOと呼んでいます。NGOは非営利組織でもありますのでNPOと呼ぶこともできますし、NPOは非政府組織でもありますのでNGOと呼ぶこともできますので、両者は同じものと言えますが、国際的な活動を行なうNPOを指してNGOと呼ぶのが一般的です。
国民財産である美しい自然や景観、貴重な文化財を、市民からの信託や寄贈によって取得し、保存・管理・公開することを目的としたNPOです。1895年にイギリスで創設され、現在では日本をはじめ世界各国に広がっています。
市場経済モデルにおいては、需給バランスによって価格が決定され、効率的な資源配分がなされますが、市場の失敗とは、効率的であるべき市場経済が適正に機能せず、資源配分が効率的に行なわれない状態を言います。市場の失敗が起こる理由としては、外部性の存在、公共財の存在、情報の非対称性の存在などが考えられます。市場の失敗が生じた場合には、政府が何らかの方法で介入して是正する必要があると考えられています。
マーケットの外部の要素のことです。市場経済は需給バランスによって成り立っていますが、外部性とは、現実の市場経済が外部に影響を与え、あるいは外部から影響を受けることによって、生産や消費に伴う活動が価格に反映できない費用や便益を派生させてしまうことを言います。外部性の代表的なものとしては公害があります。負の外部性を特に外部不経済と言います。
外交や国防など利用者が増大しても追加的な費用を必要とせず、利用者が減少しても一定の費用は必要である非競合的な財やサービスのことです。一般道路など費用を負担していない人(フリーライダー)でも利用できる(非排除性を持たない)財やサービスは準公共財と言います。公共財・準公共財は純粋に需給バランスによって価格が決定されるものではないので、市場経済には馴染みません。
費用を負担せずに利益を受ける人のこと。只乗り。準公共財に関して、しばしば問題にされます。
取引における重要な情報に関して、売主と買主の情報の質と量が異なることです。売主が重要な情報を多く持ちながら、それを買主が知らずに取引が行なわれた場合、買主の満足を満たさない結果が生じることがあり、市場経済が適正に機能しない状態をもたらす要因として情報の非対称性が問題にされます。
市場の失敗に対しては政府の適正な介入が求められますが、市場の失敗に対する政府の介入が意図した成果を上げられず、政府部門の肥大化や低い生産性などを招いて、却って経済活動が非効率化することを政府の失敗と言います。政府の失敗は大きな政府から小さな政府へという新自由主義的な政策を推進する根拠です。新自由主義的な構造改革だけでは福祉の切捨てなどによる弊害が伴うことから、スリム化した行政に代わるものとして、第三セクターの需要が高まります。
市場の失敗の一種です。取引において重要な情報を売主は知っているが買主は知らない(情報の非対称性があること。売主側への情報偏在)という状態は一般的に見られることです。情報の非対称性から売主が買主に開示すべき情報を隠して不当な利潤を得ようとし得る状況があり、一般的にそれをチェックする機能は存在しないことから、買主が売主に疑念を持ってしまう状況を、契約の失敗と言います。
専門家と素人の取引のように情報の非対称性がある取引では、買主は情報の非対称性を利用して不当に利潤を得ようとするかもしれない営利組織より、非分配制約のある非営利組織(NPO)を選択する傾向があります。
非営利セクター論の文脈において、アメリカ型ではなくヨーロッパ型の考え方に基づく用語として使われます。アメリカ型の非営利セクター論では利益を組合員に分配することが可能な(非分配制約のない)協同組合・共済組合などは営利組織に分類されますが、社会民主主義の流れを汲むヨーロッパでは、協同組合・共済組織などは組合員の互助を図るものであって直接的に利潤を追求する組織ではないとして、一般的に非営利組織に分類します。フランスでは、また非営利セクター論においてフランス主導のEUでは、協同組合・共済組合・アソシエーション(NPO)などの非営利セクターを総称して、社会的経済、ないし社会的経済セクターと呼びます。
共通の経済的・社会的・文化的な目的を実現するために個人や中小企業者が組合員となって事業体(組合)を設立し、事業体を共同で所有・運営・管理する民主的かつ自治的な相互扶助組織を言い、生産者協同組合と消費者協同組合に大別できます。日本では農協・漁協・生協などがこれに該当します。
個人や中小企業者が組合員となり、相互扶助的に社会保障を行なう団体です。日本においては共済組合とは法的には公務員(私立学校職員)の加入する社会保険の団体・制度を指しますが、国際的には広く互助的な社会保障を行なう共済組織を共済組合と言います。
結社・組合・協会・連合・合同など様々に訳されますが、アソシエーション(アソシアシオン)とは共同組織全般を指します。フランス(その他EUのいくつかの国)では、日本やアメリカで言うNPOのことをアソシエーションという言葉で呼び、NPOとアソシエーションは同義です。さらにヨーロッパ型の非営利セクター論では、NPOだけではなく協同組合・共済組合を含めて、社会的経済セクターの担い手すべてをアソシエーションと呼ぶこともあります。
1997年にイギリス労働党のトニー・ブレア政権が掲げた新社会民主主義に基づく政策理念です。「第三の道」とは旧来の保護重視の社会民主主義と競争重視の新自由主義を超克した第三の選択肢という意味で、平等・弱者保護・多元主義などリベラルな政策とともに自立・責任など保守的な理念をも強調し、市場の失敗と政府の失敗の超克を目指しています。理論的・現実的に背反しがちな社会民主主義と新自由主義を橋渡しするものとして政府・市場・市民社会の間のパートナーシップを構築し、コミュニティとボランタリー組織を重視した市民社会の再生や活性化を図っていくという政策理念です。
直訳すれば社会資本になり、社会資本とは道路、橋、空港、上下水道、学校、病院など公共のための基本的なインフラストラクチャーのことです。この原義から拡張され、ソーシャル・キャピタルは信頼や規範を共有している社会的なつながりやネットワークという意味も持つようになりました。後者の意味では関係資本と呼ばれることもあります。
日本においては、基本的なインフラは社会資本と言い、横文字でソーシャル・キャピタルと言う場合は、農村や都市におけるコミュニティの形成や維持に不可欠な信頼や規範を共有する社会的なつながりやネットワークという意味として使い分けられるという現象が見られます。
ソーシャル・キャピタルの蓄積があるほど、コミュニティの問題が少なく、また問題が発生した時の解決にも寄与すると考えられています。
NPOの経営責任を担う機関です。通常ボランティアの理事によって構成され、NPOのビジョンやミッションの確定、組織運営の意志決定、事務局への指導などを行ないます。NPOの広告塔として寄付を集めるのも理事会の大きな役割です。一般的に年に2〜4回理事会を開きますが、理事会が形骸化している場合もしばしばあります。
NPOの日常的・事務的な運営を行ないます。理事会と異なり、常設の機関です。事務局長以下のスタッフからなり、スタッフは常勤で有給であることも多く、組織が拡大するにつれて必要性が増して行きます。
利害関係者のことです。NPOでは顧客・資金提供者・行政・会員・理事・職員・ボランティア・地域社会などがステークホルダーに当たります。NPOの運営においては、様々なステークホルダーが満足を得られるように配慮しなければなりません。
営利企業と同じように、NPOにおいてもサービスの受益者を顧客と呼ぶようになってきています。NPOの理論家ドラッカーの用語で、ドラッカーによれば、NPOのサービスの提供を受ける利用者(受益者)を第一の顧客とし、NPOの支援者である寄付者・ボランティアなどを第二の顧客(支援してくれる顧客)としています。NPO関係者の中には、顧客という言葉を営利企業的として忌避する人もいます。
キリスト教に由来し、使命と訳されます。NPOが活動するに当たって達成しようとしている社会的目的のことで、NPOの存在意義を決定付けるマニフェストに相当するものです。NPOはミッションに従って運営されます。ミッションはNPO組織全体のモチベーションになるものであり、明確でわかりやすいミッションの確定は必須のものです。NPO法人では定款の目的のところにミッションを掲げます。
最近では営利企業も社会的な役割を担うべきという考え方が有力になってきており、ミッションという言葉を頻繁に使うようになりました。
自分たちや社会がどのようなものでありたいか、あるべきかという長期的目標のことです。ミッションはNPOが達成すべき具体的な目的であるのに対して、ビジョンはその彼方にある理想の自己イメージ、社会イメージです。
情報開示のことです。資金提供者・会員・社会に対して、経営内容などの情報を開示することです。NPOにおいて開かれた透明性のある運営を保証するものが情報開示であり、社会的信用を高めるものでもあります。NPO法ではNPO法人が財務諸表などを開示することを定めています。
開示すべき情報を隠していたことが発覚した場合、組織の体質が問われ、存続に関わる問題になります。
説明責任のことです。行政は国民に、企業は株主や顧客に対して説明責任を負っていますが、非営利組織であるNPOは会費、寄付金、助成金・補助金を資金源としているので、資金の使途などについてステークホルダーに対してアカウンタビリティを果たさなければなりません。
問題は発生するものですが、問題が起こった時にアカウンタビリティを果たすかどうかによって組織の在り方が問われます。
顧客の満足と企業目的の達成を実現するために、顧客のニーズとウォンツ(潜在的な欲求)を把握・分析し、商品・サービスを開発・広告・販売していく方法のことです。マーケティングは元々営利企業において発達したもので、非営利組織のNPOには馴染まないと思われていましたが、現在はNPOもサービスを提供する組織として維持・発展していくためにマーケティングの考え方を取り入れる必要があると考えられるようになってきています。
NPOにおけるマーケティングは、ドラッカーの言う第一の顧客(利用者)だけではなく、第二の顧客(支援者)も対象としています。
NPOでは利用者とは別に資金提供者が存在することが多く、一般的に無償もしくは低価格で利用者に対するサービスが行なわれます。営利企業によるサービス・商品においては価格に見合うものでなければ購入されないことによって市場メカニズムによるチェック機能が働きますが、無償もしくは低価格のNPOでは活動やサービスの内容が妥当であるかどうかをチェックする機能がありません。その結果、成果が上がらなかったり、活動が自己目的化した公益性に乏しいものに陥る恐れを、NPOは常にはらんでいます。活動が「無用なもの」「ありがた迷惑」にならないように、NPOの活動をチェックし、以後の活動にフィードバックさせるシステム・手続きを評価と呼びます。NPOは慈善事業だから客観的な評価は不要であるという考え方は、NPOの向上を妨げるものになりますので、NPOにも活動の結果に対する評価が必要です。
評価を行なうことで、組織や活動内容がミッションを達成するのに有効に機能しているかを確認し、評価の結果によって、事業からの撤退、弱点の改善、利点の増進などの戦略・戦術が組み立てられるようになります。評価手法はマニュアル化されたものもありますが、客観的な自己評価は難しいものなので、第三者に依頼することも増えています。
訳語は統治ですが、統治ではニュアンスが伝わり難いので、ガバナンスとそのまま使われます。営利企業が社会の責任ある一員として健全な企業運営を行なっていく理念・システムをコーポレート・ガバナンス(企業統治)と言いますが、公益(社会貢献)を目的とし、寄付や会費で運営されるNPOにとっても、ガバナンスは重要な概念です。ガバナンスの眼目は、組織全体が理念を共有することです。NPOではガバナンスは理事会が担います。
コンプライアンスとは法令(倫理や道徳など広く社会的規範を含む)を遵守し、不祥事を起こさないように社員・メンバーに周知させることです。法令遵守と訳されます。法令順守は当たり前のことなのですが、一度不祥事を起こすと組織の存続に関わりますので、組織のメンバーにコンプライアンスを徹底することが求められます。
NPOにおけるリーダーシップは理事長の役割です。リーダーシップには専制型・調整型・放任型の三タイプがあります。専制型リーダーは決断が迅速ですが、独断に陥る危険性があります。調整型リーダーはメンバーの意見をよく聞き、安定的な運営ができますが、反面無難な運営しかしないという弱点があります。放任型リーダーは上手く行けばメンバーの自発性を引き出すことができますが、組織のまとまりを欠き、バラバラになってしまう恐れがあります。
また、NPOの発展段階によっても必要とされるリーダーのタイプは異なります。立ち上げ時にはカリスマ性を持ったリーダーが必要であり、現実にそういう創業者型のタイプが組織を引っ張って行きます。カリスマ性を持った創業者型リーダーは上の専制型と重なります。NPOはしばしばカリスマ性を持ったリーダーの個性によって色付けられます。組織が大きくなるにつれ、調整型リーダーへの転換が必要になります。
リーダーに求められるものは色々ありますが、目的に向けて持続的な活動をするための資金を調達する能力は現実的に重要な条件です。
理事長(組織を引っ張っていくリーダー)とは別に、NPOが行なう個別の活動におけるチームリーダーないしプログラムリーダーのリーダーシップも重要です。能力のあるスタッフの自発性を引き出し、適切に権限を委譲して、プログラムリーダーを育成することは、組織を発展させるためにトップに求められる重要な役割の一つです。
官僚制・官僚組織、またはその運営。個人のボランティアから出発するNPOも、組織として拡大していくとビューロクラシーを必要とし、また現実にビューロクラシー化します。組織として大きくなったNPOは、持続的な責任のある運営を図っていかなければならず、社会的評価を得るために画一的なサービスを行なう必要もあり、マニュアル作成や新人ボランティア教育なども必要になるからです。ビューロクラシーは事務局が担います。
ビューロクラシーはNPOの精神である自発性に基礎を置くボランタリズムとは背反しがちで、事務局とボランティア・スタッフとの間で軋轢が生じることもあります。管理の意味や管理の度合いをよく話し合い、合意を形成しておく必要があるでしょう。
ギリシャ語に由来し、人類愛・慈善・社会貢献を意味します。NPOの文脈では、寄付をしたりボランティア活動をしたりすることを指します。
イギリスでは、寄付やボランティア活動、またはそれを行なっている団体をチャリティと呼びます。日本でもバザーなどで使われますが、金持ち(貴族)が施すというイメージがあるためか、NPOの文脈ではフィランソロピーが多く使われています。
社会貢献の中でも、企業が美術・音楽・演劇など芸術を支援することです。古代ローマ帝国の文化大臣マエケナスの名前に由来します。
Corporate Social Responsibilityの頭文字を取ったもので、企業が社会の責任ある一員として、フィランソロピー、優良な製品やサービスの提供、雇用の創出、納税などの社会的責任を果たすことを言います。長期的にはCSRを果たしている企業が発展するとされます。
Socially Responsible Investmentの頭文字を取ったもので、投資家が企業に投資する場合に、営業成績だけではなく、コンプライアンス、環境への配慮、地域貢献などを選択基準として評価することです。
非営利組織が行なう寄付金・募金・会費・補助金・助成金などの資金調達のことです。長期的な組織運営をしていくためには、特定の資金源に偏らない、バランスの取れたファンドレイジングが必要です。特定の資金源に依存すると、そこからの資金が途絶えると活動ができなくなり、またその資金提供者の影響下に置かれることにもつながります。
新たな資金源を開発していくことをファンド・デベロップメント(fund development)と言います。
一定の目的のために寄付された財産をベースにして公益活動を行なう団体です。公益法人として法人格を取得して財団法人になるためには、3億円ないし5億円の基本財産が必要です。
直接的な活動を目的とせず、NPOなどを支援することを目的とする財団を助成財団と言います。
特定公益増進法人などに寄付した場合、年間所得の4分の1から1万円を引いた金額を限度として、1年間の寄付金の合計から1万円を差し引いた金額が所得から控除されます(寄付金控除)。
NPOでは国税庁長官に認定を受けた認定NPO法人への寄付にのみ認められていますが、認定NPO法人になるための認定基準は大変厳しく、NPO法人一般に認められるように提言されています。
収益事業で得た資産から収益事業以外の事業のために支出した金額を寄付金とみなし、所得金額の20%相当額まで損金算入ができるという制度です。普通のNPO法人では認められていませんが、認定NPO法人になると適用されます。
行政とNPO、企業とNPO、またはこれら三者が協働する場合の対等な協力関係のことです。共同して事業を行なう場合はもとより、社会そのものを維持・発展させるためにもそれぞれの力を生かすパートナーシップを構築していくことが必要です。
国・地方自治体・財団などがNPOや企業に支給する返済不要の資金のことです。補助金と助成金には明確な違いはありません。NPO関連では、公共的な事業を民間が行なう場合に、行政がその事業にかかる費用を負担するものを補助金、NPOが提出した公益活動の企画を支援するために提供されるものを助成金と使い分けているようです。
補助金や助成金の支給を受けた場合は、当然ながら使途や成果について資金提供者に報告する義務があります。使途や成果についてきちんとした報告を行なうことは、そのNPOの信頼を高め、資金提供者の満足をもたらし、次の補助金・助成金の支給につながります。
2003年の地方自治法改正で導入された制度です。公募などによって委託先を募り、審査と議会の議決を経て、指定された民間団体(指定管理者)に公の施設の管理を委託する制度です。これによって、営利企業のほか、社会福祉法人、NPO法人、そして法人格を持たない任意団体でも指定管理者になることが可能になりました。
指定管理者になると、施設の利用料を収入とすることができ、施設の利用許可などの権限も委譲されます。指定管理者制度の導入により、サービスの向上、住民自治の拡大、人員や経費の削減などのメリットが期待されています。
市民が政策提言を行なうことです。NPOには特定の政党や政治家を応援するような政治活動は公益に反するものとして認められていませんが、社会的な問題に関する政策提言を行なうことは認められています。NPOの非営利性・中立性・専門性を生かしたアドボカシーをNPOの最も重要な役割と見る論者もいます。
アドボカシーは元々自分では発言が難しい患者や障害者の代弁や権利の擁護をする意味で使われていた言葉ですが、そこから発展して、広く政策提言を行なうこととして使われるようになりました。今でも社会的弱者やマイノリティの代弁や権利の擁護を大きな軸としています。
促進者と訳されますが、参加者の雰囲気や心理状態を判断しながら、触媒になって意見や行動を引き出し、会議やプログラムを生き生きと進行させていく役割を担う人のことです。
会議やワークショップなどを行なうに当たって、プロジェクト全体の企画構成、資金調達、開催場所の確保、専門家やスタッフなどの人材確保、参加者募集などプロジェクト運営の責任者、プロデューサーのことです。NPOコーディネーターという風に用いられます。
起業家精神(アントレプレナーシップ)を持っている起業家(企業家)のことです。アントレプレナーは単なる創業者ではなく、創業後もリスクを冒すことを恐れず、絶えず変革の精神を持って事業を推進していく性質を持った人のことです。
社会的な問題に関して事業を起こして問題解決に取り組み、利益のみを追求するのではなく公益や社会の発展に寄与しようとする起業家のことです。事業型NPO・社会福祉法人・会社・協同組合など事業の形態を問わず、このようなタイプの事業家を社会起業家と呼びます。
地域コミュニティが抱える様々な問題やニーズに対して、地域の人材・ノウハウ・施設などを活用して行なう事業のことで、雇用の創出、環境の保全、高齢者支援、商店街の活性化などを図るビジネススタイルです。
国民通貨(法定通貨)ではなく、特定の地域やコミュニティの内部だけで流通するお金のことで、地域経済やコミュニティの活性化を図る目的で導入されます。地域通貨は一定期間が経過すると劣化する、つまり価値が下がったり無効になったりするのが特色で、お金の流通を促進して停滞している地域経済を活性化することを目的としています。
多くの地域通貨はボランティア活動や寄付とも交換可能であり、NPOと連動しています。地域通貨による購入額の一部がNPOなどの市民セクターに寄付されるシステムになっているなど、ソーシャル・キャピタルの形成の役割を担っています。
元々生態学の用語で、生物がお互いに資源を分けあって適材適所に共存する地位のことですが、経済学では、大企業や既存の企業が手を付けていない間隙(すきま)をターゲットにして自分の位置を確保する事業を意味します。ニッチ産業などと使われます。中小企業やベンチャー企業などではニッチでナンバーワンになることが生き残りの重要な戦略となっていますが、NPOも基本的にニッチに展開する活動と言えます。
年齢・性別・国籍・能力・ハンディキャップ・経験など、使用する人の個性に関係なく、誰もが使えるデザインの製品を作るというコンセプトです。1990年にアメリカのノースカロライナ州立大学のロン・メイスによって提唱されました。
既存の障壁を撤廃することをバリア・フリーと言いますが、最初からすべての人が隔てなく利用できるように配慮された環境・施設・製品などのデザインであるユニバーサル・デザインは、共生を目指す多元社会の重要なキーワードの一つです。
ノーマライゼーションは、1950年代のデンマークから始まったもので、障害者や高齢者などを本人の意思を無視して排除・隔離してきた福祉施策の反省の上に立って、健常者と一緒に生活できる社会を作ろうという共生の思想です。そこには、障害者・高齢者と健常者を区別すること自体がアブノーマルであり、障害者や高齢者になった時に排除されることのないノーマライズされた社会は、健常者にとっても生きやすい社会であるという考え方があります。
具体的には、バリア・フリー化やユニバーサル・デザインの推進などハードウェア面の改良と、労働の場から障害者・高齢者を排除せずに職業訓練などのスキルを習得してもらうことによって社会的に自立できる条件や制度を作ることです。
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